昨日は喫茶店でハゲチャビンに遭遇し、なんとも後味の悪い一日になった。
だから今日は平和に家で過ごそうと思っていた。
朝は近所の消防署の車の音で目が覚めたものの、特に急ぐ予定もない。ゆっくり朝ごはんを食べてテレビを見て過ごした。
予定といえば、今日はフェスティバルホールで徳永英明のコンサートがあるくらい。
高校時代によく聴いていたし、カラオケでも歌った。特別ファンというわけではないけれど、一度あの歌声を生で聴いてみたいと思って、たまたま取れた指定席だった。
僕の頭の中では18時開演。それまでは十分に時間がある。
昨日のハゲチャビン事件もあったので、今日は外でコーヒーを飲むのはやめて、家で久しぶりにコーヒーを淹れた。韓国で買って冷凍していたパンを解凍し、テレビを見たり、近所のコンビニへ行ったり。
しかし平和である。
15時半を過ぎて少し眠くなってきた。
「18時までまだ時間あるし、ちょっと昼寝しよっと」
パジャマに着替えた。
そして、寝る前に、何となくチケットを確認する。
えっ?開場15時。ずいぶん早いなー。ジャニーズのドーム公演なんかだったら、グッズを買う人も多いし、何時間も前から開場するのは分かる。
でも徳永英明て、グッズ販売が人気なのかな?そんなことを思いながら、そのチケットの続きを見る。

開演16時。ん?もう一度見る。16時。
時計を見る。15時40分。
あと20分。
え!18時ちゃうやん!
大急ぎで着替え直して家を飛び出した。電車では間に合わない。
久しぶりに電動自転車を出したら、よりによってタイヤの空気が少ない。でも、そんなことを言っている場合ではない。
とにかく漕いだ。電動自転車なのに必死で漕ぎまくった。
フェスティバルホールに到着したのが開演5分前。
ところがフェスティバルホールは、そこから長いエスカレーターを上がらなければならない。
しかも今回の席は3階のほぼ一番後ろ。それも端っこ。トイレにも行かず、なんとか開演時間ちょうどに着席した。
足はガクガクしていた。本当にガクガク。汗は止まらず、呼吸も荒い。
しかも3階から見下ろすと、なかなか怖い。そんな状態でコンサートが始まった。

1曲目は「レイニー ブルー」。懐かしい。
やっぱり歌うまいなあと思ったけれど、少し声がかすれている。
僕はCDでしか聴いたことがなかったので、「生で聴いたらこんな感じなんかな。これもライブの醍醐味か」と思っていた。
ところが2曲目、3曲目と進んでも、やっぱり声がかすれている。
知っている曲でも、伸ばすところで声が伸びない。「やっぱり年齢もあるし、全盛期とは声も変わるんかな」
と思っていたら、客席から、「トクちゃん、頑張れー!」という声。
頑張れ?なんで頑張れ?
と思っていたら、その曲が終わったところで急に突然幕が下りた。
「ただいま演奏を中止しております。そのままでお待ちください」
皆「徳ちゃん大丈夫?徳ちゃーん」とザワザワしだした。
しばらくして、
「本人の声の調子が悪いため、本日の公演は中止します」とのアナウンス。
やっぱり調子悪かったんや。
最後に徳永英明さん本人が声だけで「また帰ってきます」と話していた。
お客さんも「仕方ないよ」という優しい雰囲気。
もちろん僕もそう思う。無理して悪化するより、また元気な時に歌ってくれたらいい。
ただ……。
ほんの少し前までパジャマ姿で昼寝しようとしていた僕は、大慌てで着替え、空気の少ない電動自転車を全力で漕ぎ、フェスティバルホールの3階まで上がり、汗でハンカチをベトベトにして、さっき来て、もう帰る。まだ足がガクガクしたままに。
まあ最近運動不足だったし、今日は徳永英明を聴きに来たのではなく、フェスティバルホールまで有酸素運動をしに来たと思うことにしよう。
帰り際には、「振替公演や払い戻しについては、SNSなどでお知らせします」
とのアナウンス。SNSか。……どこ見たらええんやろ。フェスティバルホールのホームページ?
徳永英明のホームページってあるんかな?なにしろ僕は、ファン歴、本日約30分。そこから調べなければならない。
昨日は喫茶店のハゲチャビン。
今日は徳永英明、まさかの途中終了。
今日は平和やと思ってたんやけどなあ。
明日こそ、普通にコーヒー飲ませておくれ。